BCNR33は発売からすでに20年ほど経過している為、様々な故障や劣化などがかなり目立つようになってきています。
そこで、BCNR33でよく発生する故障事例と修理コストの目安と、修理費用を節約するコツについて、元整備士である当サイトの専属ライターが実際に修理を経験した事例を含めて詳しく解説します。
目次
電装系・メーター系パーツの故障と修理コスト
出典:http://www.gtr-world.net/gtr/archive/1795
R33の販売終了は1998年12月(生産終了は同年11月)、つまり最も新しい車体ですでに20年以上経過しているわけですから、電装・メーター系統に関してはどれだけメンテナンスにコストを割いたR33であっても、不具合が生じる可能性があります。
ただ、電装・メーター系と言っても列挙するときりがありませんから、代表的なものを挙げ対応と節約法をお伝えしていきましょう。
・ヘッドライト
純正の話をすると、R32はすべてハロゲンで反対にR34以降は基本的にキセノン、BCNR33だけがハロゲン・キセノンが混在しているためヘッドライト関連のトラブルシューティングが必要なため記載。
・ウインカーのハイフラッシャー
こちらもR32は基本通常球、R34以降はLED、R33だけがマイナーチェンジによって混在なのでヘッドライトと同じ理由で、「なんだかおかしい」と持ち込まれるケースが整備士時代に多かった為記載。
以上の理由でこれらも執筆する必要があると思いましたのでご理解ください。
ヘッドライトが暗くなってきたor付かなくなった
ヘッドライトの不具合は、B33に限らずそのほとんどがバルブ(電球のこと)の寿命ですので、暗くなったり付かなくなった側のバルブを、新品に交換すればほぼ解決します。
整備のセオリーから言うと、片方のバルブが暗化もしくは消灯した場合、もう一方のバルブも近い将来同じ症状が出る可能性が高く、前期・中期R33は概ね4,000円あたりのリーズナブルなハロゲンバルブであるため、両方同時に交換した方が安心です。
ただし、1997年2月以降の後期BCNR33は、1本2万~3万円するキセノンバルブが採用されているため、予算や以降乗り続ける年数と相談のうえ、片方のみの交換もアリです。
ちなみに、カー用品店などでのバルブ交換工賃の相場は、ハロゲン・キセノンいずれの場合も片方2,000円程度、頑張ればDIYも可能なのでチャレンジして工賃をカットするのも良いでしょう。
また、ハロゲンよりキセノンの方が寿命的に4~5倍長いものの、点灯に際し2万ボルトほどの高電圧がかかるため、新品に交換したらその後みだりに点灯・消灯を繰り返さないよう注意すると、バルブをより長持ちさせることができます。
ウインカーが付いているのにハイフラッシャー
ハイフラッシャーとは、普段の点滅タイミングより明らかにスパンが短くなる現象のことで、一般的には前後2灯づつあるいずれかのウインカー球が切れ、抵抗値が変化することによって発生します。
球切れによるハイフラッシャーは新品への交換で万事解決、ウインカーの不点灯は後続車や対向車に多大な迷惑が掛かりますので、早急に交換するようにしましょう。
問題は、すべて点灯しているにもかかわらずハイフラッシャーが発生しているケースで、この場合プロはまず最初に何れかのウインカーバルブが、純正のハロゲンからLEDへ取り替えられていることを疑います。
家庭用の電灯類にも採用されているLEDは、消費電力が少ないため省エネにつながるものの、ハロゲンと混同して装着した場合、車が抵抗異常を感知し「ウインカーに異常があるよ!」と、ハイフラッシャーでドライバーに知らせる原因になるのです。
もちろん、自分で交換した場合は即ハイフラッシャーが発生するため、すぐに気が付き対応可能なものの、業者に交換を依頼したケースではハイフラッシャー対策に取り付ける、カシメ式ワンタッチカプラーが経年劣化で接触不良を起こしている可能性があります。
この場合は、後付けしたカプラーを新品に交換したのち、状況に応じて接点向上剤を塗布して対処するため、部品代と工賃でおおむね5,000円程度かかります。
ただ、ヘッドライトは消費電力が大きいためLEDへの変更を検討するのも頷けますが、ウインカーは点灯さえしていればさほど運転に支障がないので、純正がハロゲンであるBCNR33の場合は、みだりにLEDへ変えない方が無難と言えるでしょう。
もし、どうしてもLEDに変更したい場合は、抵抗値に左右されないICリレーの使用がおすすめで、安価なLEDは接触不良や不点灯など起こしやすいため、フィリップス社など有名メーカーの商品を使用するようにしましょう。
ドアミラーの開閉不良
ウィンドウと比較して稼働頻度が格段に少ないため、衝突でもしない限りなかなか故障しないドアミラーですが、20年を優に超えるR33の場合は内部モーターが経年によって劣化し、開閉不良を起こすケースも多々あります。
中古部品に交換する手もありますが、当然それも20年以上使用されたモーターになるため、新品を取り寄せての交換が基本となり、部品代+工賃で約5万円程度費用が掛かります。
正直、ドアミラーを長持ちさせるコツなんて存在せず、リビルト品もあまり出回っていないため節約は難しいところですが、開かない場合はともかく閉じないケースであれば、最悪我慢して乗り続ける手もアリです。
ちなみにドアミラーの故障をDIYで修理している方がyoutubeにいたので動画をご紹介しておきます↓
タコメーターの故障、異常な動き方をする
R32やR34ではあまり聞いたことがないため、おそらくR33特有の弱点と考えられますが、エンジンの回転数を表示するタコメーターが、全く動かなくなったり踊り狂ったかのごとく右へ左へ触れまくるなどといった、異常作動を起こすケースがあります。
まさしく、メーターがタコ踊り状態になる原因として考えられる主な原因は2つ、1つ目は基板上に3種・4個付いているアルミ電解コンデンサ、もしくはレギュレターの寿命でこちらの可能性の方が一般的です。
R33のタコメーターが壊れてヤバい吹かし方してる人みたいになった pic.twitter.com/vVfK42GBbS
— カメロー🐢進捗0.1919% (@Kame_Low) May 25, 2018
ディーラーに駆け込んだ場合、この後お伝えする2つ目の原因であったとしても、メーター一式のASSY交換になるでしょうから、軽く10万円オーバー確定です。
ただ、R33のメーターは素人でも案外簡単に取り外し可能であり、タコ部だけを単体で交換することもできるうえ、状態の良い中古品がヤフオクなどで5,000円程度で売りに出されているため、購入しDIY交換すればかなりのコストカットとなります。
また、こちらは少々レアケースですが、基盤のハンダが「割れ」などの劣化によって接触不良・断線している場合も、タコメーターが異常な動きをしたり、ピクリとも触れないことがあります。
こちらの場合は部品すら必要なく、劣化箇所をハンダごてで再度熱し接触不良や断線を解消すれば、症状はすっかり改善します。
おそらくディーラーのメカニックも、タコメーター故障原因についてわかり切っているのでしょうが、R33のように販売終了から年数が経過している車の修理後には、何かとクレームが付きまとうものなので、ASSY交換を基本としているのが現実。
とはいえ、そもそもタコメーターは単にエンジンの回転数を教えてくれる機器であり、全く触れなくとも暴れまわっていても、実際の走行には一切使用をきたさないため、慌てずにコストの節約手段をじっくり探した方が◎。
DIYすることに自信がないのであれば、気心の知れたカーショップへできる限り費用を抑えるよう依頼すれば、ディーラーに出すよりかなりリーズナブルなコストで、タコメーターは修理できると考えています。
エンジン関係の故障と修理費用
出典:http://www.gtr-world.net/gtr/archive/1795
エンジン関係も生産から20年以上経っていることもあり、当然のごとく故障や不具合が多くなってきています。
故障の程度によっては致命傷を負いかねない事象もあるので、まだ壊れてない方は事前に知っておくだけでも壊れた時冷静に対処できると思うので予習しておくのもいいかもしれません。
エアフロの故障
走行中、低回転域でなんだかエンジンが吹かない、油断するとエンジンが止まってしまいそう、このような症状を訴えるR33オーナーが来られた場合エアフロ、もしくはイグニッションコイルの故障が疑われます。
まず、エアフロの故障原因ですが、1つ目は内部にある基盤のハンダ割れによる動作不良、基盤部分に目立った不具合がないケースでは、エアフロのセンサー部分に汚れが溜まり、正常な吸入空気の量を検出・ECUに送れていない可能性があります。
(↑youtubeに動画がありましたが、ちょっと分かりにくいですね汗)
エアフロが故障した場合、走行中の急停止などの発生で事故につながるケースもあるため、整備の確実性と安全性確保の観点から、基本的には新品への交換を実施しますが、R33の場合は純正新品はもちろん、チューニング用の社外品も既に製造中止。
R35のエアフロを転用する手もあり、トルクや燃費向上などのメリットが見込めますが、ECUの再設定が必要なため書き換え手数料や、部品代・交換工賃等を含めた修理費用相場は安くて15万円以上、高い業者の場合40~50万円請求されることも。
そのため、腕のいいメカニックがいるショップでは、「耐久性に万全の保証はできない」ことを了承してもらったうえで、オーバーホールで対処するケースもあります。
手順は、取り外したエアフロの蓋を固定しているシール剤を取り除き、内部のノイズ保護プレートを剥すと現れる基盤をまずチェック、ハンダ部に割れや破損があった場合はしてやったり、新たにハンダを盛り直せば症状がピタッと収まることがあります。
次に、せっかく分解したのでエアフロメーターのセンサー部分を、市販もされているエアフロクリーナーで念入りに洗浄します。
もっとも、現在販売されている車のエアフロセンサーはプリント式なので洗浄不可ですが、R33などこの時代の日産車が採用しているエアフロは、センサーが汚れやすい傾向にあるため、洗浄によって感度が復活する可能性大。
エアフロの不具合は、部品交換ナシで修理が完了することも珍しくなく、器用な方ならDIYも可能ですし、良心的な業者であれば2~3万円程度で、オーバーホールを請け負ってくれることもあります。
イグニッションコイルの故障
一方、頑張ればDIYでお金をかけずに修理可能なエアフロと異なり、イグニッションコイルが故障している場合は、新品への交換が必須です。
R33には、6つのイグニッションコイルが存在し、複数が一辺に故障することはまずありえませんから、不具合があるコイルのみ交換すれば、ほとんどの場合症状が改善します。
どのコイルが不具合を起こしているかの判定方法は、アイドリング状態で6本あるコイルのカプラーを順に抜き、エンジン停止など症状が悪化したカプラーについているコイルは正常、症状に変化のないカプラーについているコイルが、不具合を起こしています。
R33の純正イグニッションコイルは、通販などで大体7,000円程度で販売されていますし、判定方法を含め交換作業自体それほど難しくありません。
しかし、判定時のスパークによる感電・発火などの危険性や、そう高くない工賃相場を考慮すると、節約するならDIYではなく通販などで安く買った新品をプロ業者に持ち込み、交換依頼した方が無難です。
エンジン全損も!?タービンブローの場合
R33に装着されているタービンは、ブーストの立ち上がりがスムーズな半面、セラミック製であるため強度に難があり、完全にブローして破損箇所がエンジンに吸い込まれた場合、エンジンもろとも再起不能なんてケースもあり得ます。
タービンブローの前兆、もしくはすでにブローを起こしている際の症状としては、
- 異音がエンジンから聞こえる
- エンジンオイルの減りが異常に早い
- マフラーから白煙が出ている
などが代表的なものですから、いずれかを発見した際は大至急プロの整備士の点検・修理を依頼すべきです。
(↑上の動画はECR33のタービンブローの動画ですが、BCNR33でも同じような症状が出ます。)
タービンが故障する原因は、異物吸入やブーストのかけ過ぎによる、羽根の破損などですが、防ぎようのない異物混入はもとより、R33オーナーとしてはブーストをかけ駆動を疾走したいのが心情。
エンジンオイルの劣化や不足による焼き付きも原因の1つですので、せめてオイル管理だけはマメに実施するよう心がけると、幾分タービンの寿命を延ばすこともできます。
さて気になる修理費用ですが、HKSやTOMEIが販売している社外新品タービンは、一式30万円近くするため、交換工賃を含めると40万円程飛んでいきます。
節約するなら、純正中古品をリビルトしたタービンをチョイスすべきですが、それでも12~13万円はしますので、関連するショートパーツ代を含めると、30万円程度の出費は覚悟しなければなりません。
ちなみに、R34のN-1に採用されたタービンはメタル製であるため、若干ブースト性能でセラミックに劣るものの、強度的には断然優れておりリビルト品の相場も同程度か、タイミングが良ければ安い傾向にあるので、こちらを転用するという手もおすすめです。
最終RB26型で稀に起こるオイルポンプ割れ
非常にレアなケースなので軽めの解説に留めますが、1997年のマイナーチェンジ後の最終RB26型のオーナーから、「後付けした油圧計の調子がおかしい」という相談を受けたことがあります。
その方は異常に気付いてすぐ車を止め、当時筆者が在籍していたカーショップに相談、点検した結果コンロッドメタルの転送面に軽いカジリが発生しており、クランクに焼けは無く再利用出来る状態で、ポンプを交換するだけで済みました。
ただそれも、後付け油圧計のおかげで早期発見できたにすぎず、油圧計の存在しないケースで一般ユーザーが、オイルポンプの異常を早い段階で感知するのは非常に難しい。
大抵の場合、ポンプ内部の破損が激しくなり、大量発生したコンタミ(※)によってポンプが目詰まりを起こし、エンジンへオイルがうまく循環されずクランクやピストンが焼き付いた、「完全手遅れ」の状態で持ち込まれるのがほとんどです。
※コンタミ・・・本来は医療界などで汚染物質を意味する「コンタミネーション」略称で、整備業界では摩耗・破損による金属粉・金属片のことを指す。
後者の場合は、ショートブロックのASSY交換を要する重整備になるため、工賃が半端な値段ではありませんし、部品代だけで大体80万円はしますから、正直廃車も検討すべきです。
オイルポンプ交換だけで済む場合でも、エンジンをいったん降ろして分解するため、工賃だけで十数万円はかかりますから安い中古パーツは使用せず、いっそのこと14~15万円で販売されている、TOMEI製の大容量社外ポンプに交換するのもいいでしょう。
オイルポンプの故障を防ぐ方法は単純明快、エンジンオイルの交換を適切に行ってさえいれば、エンジン本体の寿命がやってくるまで、まず故障することはないでしょう。
また、スパンを守ってオイル交換していれば、発生したコンタミの混入をオイル抜き取り時にメカニックが確認できるため、オイルポンプ破損の早期発見につながるメリットもあります。
内・外装や消耗品関係で発生しやすい不具合
出典:http://www.gtr-world.net/gtr/archive/1795
内・外装関連におけるR33の不具合と言えば、リアスポイラーやコンビランプ部から水がトランク内に侵入、さびや腐食を引き起こしたケースをよく聞きます。
購入後、事故を起こしていない中古車でこの症状が出た場合は、修復歴には当たらずとも板金やリア装備の交換がされている可能性が高く、もし発見した場合は市販のシーリング剤などでDIYするか、症状が改善しない場合はプロの整備工場へ修復依頼しましょう。
カラーリングについては、非常に高品質な仕上がりになっているため、年式の割に劣化しにくいですが、コーティングや洗車を適度に正しく実施しないと、光沢が落ちたり小傷が入り、R33の持ち味であるスタイリッシュさが半減しかねません。
消耗品として、劣化スピードが他車種と比較して段違いにより早いのは、高スペックなエンジン性能を路面に伝えるタイヤと、高速走行でも優れた制動力を確保するブレーキ関連。
加えて、GT-Rを含めた4WD 車共通の特徴ですが、ドライブシャフトのジョイント部にある、ベアリングを保護するため存在するブーツの破損が異常に早く、車高を下げるチューニングが施されている場合、「もう破れたの?」と突っ込みたくなるほど頻発します。
ブーツ交換だけなら、工賃や清掃を含め15,000円程度で済みますが、定期点検や車検時にプロからひびの発生を指摘されたにも関わらず、放置・破損してドライブシャフトが焼き付いた場合、高額なASSY交換を余儀なくされます。
自身や同乗者の安全に関わるタイヤやブレーキは、経験上プロのアドバイスを素直に受け入れてくれるユーザーが多いものの、ひびが発生している段階では運転に支障がなく、車検もパスするブーツについては、「まだいいよ」と節約のため断ってくるケースも。
ただでも維持費が高いR33ですから、少しでも節約したい気持ちは十分理解できますが、2年乗り続けることが前提の車検時にブーツ劣化を指摘された際は、アドバイス通り交換をしておいた方が、結果的に維持コストをかけずに済みます。
まとめ
高スペックなBCNR33だからこそ起こりやすい故障について解説しましたが、オイル漏れやエアコン・オルタネーターの不具合など、どんな車でも経年や過走行によるトラブルも、当然ながら発生します。
いずれの場合であっても、R33は部品代や工賃が他車種よりかなり割高なので、中古購入したR33を長く乗り続けたいのであれば、余裕を持った維持コストのプールが必要不可欠と言えるでしょう。
また、現在はネットで故障をDIYで直している方が情報発信しているので、それを参考に自分で修理できる範囲であれば出来るだけ対処しコストを削減することもできます。
自分でDIYやるのは自信がないという方は、行きつけのショップを見つけてプロに相談し最善な方法がとる方が安全面やコスト面でみても良い場合もあるので、ご自身のスキルや懐具合と相談しながら修理を進めるようにしましょう。