今R32GT-Rが高騰している本当の理由

日本国内でもBNR32スカイラインGT-Rの価値が高騰している!

自動車の販売価格というものは・・・

・新車>中古車
・年式の若い中古車>年式の古い中古車

となることが一般的ですが、中にはその法則を見事に裏切る場合があります。

特に中古車同士で見るとそれは顕著で、年式が古くなればばなるほど使い込まれて汚く見えますし、デザインも古めかしい、機械的な摩耗からおのずと故障が増えるといった形で価値が下がることが普通ですが、一部のモデルはいろいろな理由でそういったこと度返しで古くても価値が高くなることがあります。

その1台が日産がかつて発売していた3代目スカイラインR32GT-R(BNR32)です。

ではどうして、もはや旧車の部類に位置づけされるR32GT-Rが今になって高い価値を持つようになったのかを見ていきましょう。

実際の現在の中古車価格

実際に、中古車情報サイトGOOで現在R32GT-Rがどのくらいの金額で販売されているのか調査してみました。
(車両価格にて調査:2018年9月1日現在)

最高値

出典:GOOnet
999万円!!

最安値

出典:GOOnet
198万円!!

約25年前のGT-Rの新車価格が450万円から520万円なので、かなり異常な中古車価格ということが分かるかと思います。

BNR32スカイラインGT-Rの人気の秘密

R32GT-Rの中古車としての価値が高い理由は単純に「魅力がある」からです。
その魅力は何か?そしてどうして魅力となるのか・・・1つずつ見ていきましょう。

海外での人気。特にアメリカ


出典:youtube

まずは、この動画に注目してみてください。

アメリカでR32GT-Rを乗ってみた結果、たくさんの人に声をかけられたという動画です。

アメリカ人の社交的な国民性もあるかと思いますが、ここまで注目されるのはある意味凄いですし、それだけアメリカではR32GT-Rが人気ということです。

アメリカでは製造から25年経過した車は、クラシックカーと見なされ国の厳しい規定の一部を免除されるため、25年前のR32GT-Rをアメリカで乗ることが可能になったのです。
それに、映画ワイルドスピードやグランツーリスモの影響でアメリカでのR32GT-Rの人気が高まり、そこに目を付けた輸出業者が続々とアメリカにGT-Rを輸出。

そうなると国内の個体も少なくなってしまうので、おのずと中古車の値段も上がる。
これが、今R32GT-Rの価格が高騰している最大の原因。

海外で日本のスポーツカーが人気があるのは嬉しいですが、あまりの高騰で国内のユーザーが買えなくなるのは、それはそれで寂しい気もします。

スポーツモデルの希少性

例えば、現在新車として発売されている自動車のラインナップを見てください。
どれもいろいろな意味で魅力のある車ばかりといっておきますが、その中で純粋にスポーツ走行を楽しめるような車がどれだけありますか?

2018年8月現在で見ると日産のGT-R、フェアレディZ、マツダのロードスター、ホンダのS660、シビックタイプR、NSX、スバルのWRX STI、BRZ、トヨタの86といった9車種ぐらいなものでしょう。
その内、一般消費者が気軽に買うことができるような価格設定がされている車はどれだけあるでしょう。

キーポイントはここです、要するにスポーツモデルを好むような若年層が気軽に買うことができる比較的価格の安いスポーツモデルがほとんどないのです。
新車で買うことができないのであれば、しかたないですが中古車から選ぶしかありません。

どうせ安く買える中古車の中から選ぶのであれば、非力なNAエンジンを搭載するモデルであったり、過給器付きでもパワーがないモデルではなく、今でも十分通用するパワーや走行性能を持つ車がいいということで、BNR32を選ぶ方が多くなっているのです。それでもR32GT-Rは高騰して高いですが・・・・

ノーマルでも優れた性能をもつ

近代型スカイラインGT-RにはR32GT-R(BNR32)以降、BNR33、BNR34と3種類のモデルがありますが、どれもスペック的には優れたものを持っています。

まさにスポーツモデル、レーシングマシンといっていいと思いますが、その中でも単なる数字ではなく、実際に運転をしてみて早く走ることができる、スポーツ走行を一番楽しむことができるのが、近代型スカイラインGT-Rの中で一番コンパクトで、一番軽量なBNR32なのです。

スカイラインGT-Rのような車はチューンされることが前提とされることが多いですが、まったくチューンしていないドノーマル状態でもかなり早く走ることができるのはかなりの魅力といっていいでしょう。

ちなみに、ノーマルのR32GT-Rの0~400加速のタイムは12″5、100km/h到達時間は約4秒とのこと。
これだけ見ると、ノーマルでも十分すぎるパワーを発揮しています。

意外と簡単にパワーアップできる


出典:みんカラ

BNR32にされているエンジンは今でも「名機」といわれているRB26DETTです。

このエンジンには3気筒ずつに分けられたエキゾーストマニホールドが付けられ、それぞれのエキゾーストマニホールドの先に1つずつ、計2つのターボチャージャーが付けられています。

いわゆるターボエンジンと呼ばれるものですが、ターボエンジンはターボチャージャーが生み出すブースト圧を高めることで簡単にパワーアップさせることができるというメリットがあり、ノーマルでも当時のモデルとしては高めの0.78kgf/cm2となっていますが、それをEVCなどのブーストコントローラーなどを使って1.0kgf/cm2ぐらいかけてあげるだけで、280psから350ps程度までパワーアップさせることができ、更に吸気系や排気系、ECUなどもいじって1.2kgf/cm2かけてあげるだけで400ps近いパワーを出すことができるのです。

そのチューンにかかる費用もNAエンジンでそれだけのパワーを出そうとした時と比べるとはるかに安く済みますし、DIYでも十分対応できるという気軽さも持ちます。

そして更に重量面ではデメリットとなりますが、鋳鉄製のエンジンブロックを採用したことでエンジン自体の強度が抜群で、多少無理のあるチューニングをしたとしてもターボチャージャーはブローしてもエンジンブローは起こさないといった丈夫さがあることもR32GT-Rをチューニングするうえでかなりのメリットとなっています。

チューニングされるのがもはや当たり前、そのチューニングもDIYでされることが多い中で、簡単・低価格・丈夫なエンジンの3つが揃っているスポーツモデルはそうそうありません。

チューニングパーツの豊富さ

R32GT-Rが発売されたのは1989年、2018年現在で約30年前のことです。

この当時から同じ日産から発売されていたZ32型フェアレディZと共にチューニング技術やパーツが開発され、現在までにかなりたくさんのチューニングパーツが販売されてきました。

その中には何十万円もするような高額パーツもありますが、長い間販売されてきていることからチューニングパーツの価格は比較的安くなり、エンジン内部をいじるにしても当初は、有名なチューナーにお願いして100万円ぐらいの費用をかけてやってもらったものですが、現在ではその技術も一般的に広く知られるようになり、それができる方がたくさん出てくるようになったことからだいぶ安い金額でエンジン内部までいじることができるようになったのです。

要するにお金をかけなくても大パワーを手に入れることができる、優れた走行性能を得ることができるということです。
これもチューニングベース車両となることが多いR32GT-Rにとっては大きな魅力となるでしょう。

まとめ~R32GT-Rの価値高騰の理由は魅力がありすぎるから!

スポーツモデルが好きな方、チューニングが好きな方がこの記事を読み、一部分ではありますがR32GT-Rの魅力を知ったらきっとわくわく感が止まらないのではないでしょうか。
そのわくわく感が実はR32GT-Rの価値が高くなる理由そのものなのです。

もちろん、高騰の一番の理由はアメリカでの人気が一番の要因ではありますが、R32GT-Rのそのものの魅力が高いからこそ高騰するのです。

古い車だから遅い、古い車だから燃費が悪い、古い車だから買う価値なし・・・車を日常の足として、生活道具としてだけ見ている方にとっては、R32GT-Rはきっとそう見えるでしょう。
しかし、車を運転する人すべてがそうではありません。

車を愛し、車を運転することが何よりも好き、難しいコーナーをヒラリヒラリと駆け抜ける喜びや限界ギリギリまで攻めるスリル感を味わいたい、世界にたった1台しかないオリジナルのチューニングカーが欲しいなどという方もたくさんいて、そういった方たちが好んで買う車が、手ごろな値段で買うことができ、手を入れればそれにきちんと答えてくれるポテンシャルを持つこのR32GT-Rであり、スカイラインGT-Rであったりするわけです。