R35GT-R初期型の中古車が400万円台!?買う際の注意点は?

最強の名をほしいままにした、第2世代スカイラインGT-Rの後継車種であるR35GT-Rを購入し、、「世界最高峰の走りを体感してみたいみたい…」と、GT-Rファンに限らず車好きなら一度は思うものです。

しかし、新車購入となるとベースグレードで軽く1,000万円オーバー、上位グレードは郊外なら一軒家が立てられるレベルの超高級車なので、誰しもが簡単に購入・維持できる存在ではありません。
とはいえ初登場から10年以上たった現在、初期型R35GT-Rなら修復歴がなく、走行距離的に見ても数年にわたって乗れそうな中古車が、頑張れば手が届く「400万円台」で購入できるようになってきました。

そこで今回は、「400万円台なら何とか買えそう!」と考えている方に向け、初期型R35ならではの不具合・故障個所など、購入時必ずチェックして欲しいポイントと故障時の修理コスト、さらにその節約術を伝授したいと思います。

そもそも初期型R35って何年式まで?

イヤーモデル方式を取っているR35の場合、他車種よりどこまでが初期型なのか明確に線引きしにくいものの、初のマイナーチェンジとなった2010年11月以前のモデル(MY10)を、業界的には「初期型モデル」と位置づけているようです。

しかし、2007年及び2008年モデル(MY07&MY08)と、2009年モデル(MY09)とでは

  • フロントナンバープレートのステイ除去で5mm車長が短縮
  • ブレーキキャリパーのロゴが「brembo」から「NISSAN brembo」に変更
  • 純正色のホワイトパールが白さを増したブリリアントホワイトパールへ変更
  • アルミホイールのカラー設定にシルバーが無くなりガンメタとブラックへ変更

など少々マニアックになりますが、数点デザイン・カラーバリエーション変更されています。

さらに、中古車価格は「需要と供給」のバランスで成り立っており、市場への車体流入数がグンと増える、9・11年落ちの車体価格が安くなっていきますが、R35は歴代「年末」に国内改良モデルがリリースされているため、MY09はまだ11年目を迎えていません。
※2019年8月現在

MY10に至っては、ほとんどの車体が9年目を迎えていませんし、何よりR35の肝と言えるVR38DETTエンジンの出力が、530PSへ大幅アップ(MY07・480PS、MY08・485PS)しているため、もはや「別次元の車」と考えたほうがいいでしょう。

つまり、トータル500万円を切る価格で購入できる初期型R35とは、そのほとんどがMY07かMY08であり、程度の良いMY09が見つかったらかなりラッキー。

ですので、当記事では08・09年式のR35を、「400万円台で購入可能な初期型」と定義しますが、基本ポイントとして同価格帯の場合「MY07→08→09」の順番で、より入念な購入前チェックをすべきと覚えておきましょう。

なお、MY10は400万円台ではまず購入できないでしょうが、修復歴がなく走行距離が短めのMY10が見つかったときは、修復歴に残らない爆弾がエンジンや足回り、ミッションなどに潜んでいる可能性大。

ただ、後述する「R35を中古購入する際の注意点」は共通、奮発してワンランク上のMY10を購入する際にも十分参考になるので、是非最後までご覧ください。

外装のチェックポイント

まずは最もわかりやすい外装、重厚感あふれ迫力のあるR 35のデザイン性が損なわれていないか、細かく自分の目でチェックしましょう。

なお、すべて車体の骨格部までダメージが至っていない、「修復歴ナシ」の中古車両であること前提に、話を進めて参ります。

ヘッドライトの黄ばみ&結露


出典:株式会社川田自動車

よく初期型R35のオーナーから、「夜間走行時どうもヘッドライトが暗い」という声を聞きますが、お車を拝見するとヘッドライトの外側が激しく黄ばんでいたり、内側に結露が発生し、酷いケースでは大量の水が溜まっていることもあります。

黄ばみは紫外線に長年さらされることで発生するのですが、、R35非常にエンジンが発する熱量が極端に多いため一般的な車種より早く、レンズが黄ばんでしまう傾向にあります。

また、同じ理由でレンズとユニットを接続するシーリングが痛み、破損箇所から雨や洗車時の水分が侵入し、激しい結露を引き起こしてしまうのです。

どちらも、新品に交換すれば万事解決ですが純正への交換の場合、2017年モデルのイナズマヘッドライトに換えると部品代のみで40万円程度しますから相当額の出費になります。
※ちなみにマイナーチェンジ前のヘッドライトであっても5万円くらいしか差額がないらしいです。

出費を抑えたい場合は、ヤフオクなどで綺麗な中古品が10万円以下で売られているのでそちらを探してみてもいいでしょう。

黄ばみ発生だけで済んでいる場合は、1万円程でレンズ磨きを実施している業者がたくさん存在しますし、市販のヘッドライト復元キットを購入・DIYすることも、コツさえつかめば案外簡単に可能です。
一方、結露の場合は対処することが難しいうえ、放置するとユニットが故障しライトが付かなくなり、否応なく部品交換となるケースが多い。

購入時に結露がないかチェックしても、見た目ですぐ分かる黄ばみと異なり、近い将来発生する可能性があるので厄介ですが、ヘッドライト内部の水分除去と再シーリングを、2,5~3万円程で請け負ってくれるショップも数多くあります。

症状が重く、ユニットの深いところまで水分が浸食している場合は分解、もしくは一部パーツの交換が必要なため別途コストがかかりますが、それでもASSY交換より格段に安く対処できますので、結露を発見した時はなるべく早く対応ショップを探しましょう。

フロントグリル・ステイの変形

R35に限らずスポーツカーは、巨大なパワーによってハイウェイをカッ飛べるのが魅力であるため、フロント部に飛び石によるエクボ状のキズがワンボックスや軽自動車より多い傾向にあります。

そして、いくら400万円台に落ち着いたとはいえ、初期型R35は国産車屈指の高額中古車なので、飛び石キズが目立つ場合は店頭に並べる前に、板金・塗装を施すのが「セオリー」。

つまり、「飛び石キズがない=ハードな走行をしていないR35」と言えきれないのですが、1つ誰でも簡単に街乗り中心で丁寧な走行をされていたか、見極めることができるポイントがあります。

実は、ナンバープレート下にある格子状のフロントグリルの合間から、左右1本づつ見える「バンパー保持用ステー」が変形している場合、まず間違いなくその車体は変形している側の下部へ、少々激しめの衝撃が加わっています。


出典:youtube

プロは中古車査定時、もしくは業者間オークションでの仕入れ時に、飛び石キズの有無と同時に必ずこのステイを確認、足回りのへたりやエンジン程度など他要素を加味したうえで、これまでどんな走り方をしてきたR35なのか判断するのです。

しかし、「そんなこと素人が知っているはずもない」とタカをくくっている中古車店は、見た目だけはきれいにするものの、ステイは変形したままの状態で店頭に並べます。

足回りが堅めで低重心なR35の場合、全くフロント下部を擦っていない車体を探す方が大変ですが、ステーが変形しているのを発見したらリフトアップを希望し、底部に大きな不具合がないか念のため確認するようにしましょう。

リフトアップをお願いしても、聞き入れてくれない販売店は非常に不親切、あるいは不具合を隠蔽したいと考えているケースもあるので、400万円オーバーの初期型R35を購入する相手として、選択肢から外すほうが無難です。

また、バンパーステーをチェックして考え込むそぶりを見せるだけで、「油断できない客だ!」と営業マンに思われ、その後の「取り調べ」がグンと楽になるので、ぜひお試しを。

トランクの水たまり&コケ・カビ・サビの有無

大部分がサビやすい鉄でできている車ですから、雨漏りと水たまりの発生は大問題、とはいってもそこはメーカーも対処をしており、ボンネットやトランクの脇には排水用の溝が存在し、内部に水が堆積しないよう作られています。

しかし、「ハコスカ」から伝統的に継承してきた箱型形状が災いし、トランク脇の溝にある水を外部へ排水口が経年により泥やゴミで塞がり、水たまりが発生しやすいのです。

もちろん、マメに清掃し排水口を綺麗にしていればそんな状態にはならないのですが、長い間水たまりを放置していた車体にはコケやカビが付着していたり、さらに進行してサビが発生している可能性があります。

高級スポーツカーであるR35ですが、エンジンや足回りには惜しみなくお金が掛けられているものの、トランクルームは案外安っぽくペラペラのマットが引かれている程度なので、水たまりが進行してルーム内まで至ると、サビが広範囲に及んでしまうことも。


出典:ヘリコプターを飛ばす

車にとってサビは「天敵」、放置するとドンドン周辺が腐敗しスタイリッシュなデザインが見るも無残な姿になってしまいかねませんので、基本としてサビが多く発生している状態のR35は、極力購入候補から外すべき。

ですが、他の箇所の不具合がなく小さなサビで腐食がないような軽い程度なら、1,000円程度で市販されている「サビ取り&サビ止めセット」で、DIY補修することも可能です。

コケやカビは嫌な臭いの原因になるものの、市販の洗剤である程度除去できるためそれほど問題ではありませんが、広範囲に及んでいる場合はいくらお手頃価格でも、購入を控えたほうがいいでしょう。

なぜなら、トランクへの水漏れ・水たまりの発生は、初期型R35特有の弱点として有名なので、前述したとおり排水溝を清掃さえすれば解決する不具合でしかなく、そんな状態になるまでR35を放置していた、中古車店の管理体制が悪すぎるとしか言えないからです。

ですので、トランクにサビが発生している場合は完全に「OUT!」、コケ・カビのレベルの場合は納車前にきれいな状態にしてもらえるよう交渉し、決裂した場合は他の販売店を探した方がいいと考えています。

リアガラスへのウロコ付着


出典:タカヒロの日記

R35は、ご存知通り空力を意識した極端な流線型なので、今流行りの軽ハイトールやワンボックスはもちろん、セダンと比較してもリアガラスに水滴が長時間留まるため、その見た目から「ウロコ」とも呼ばれるイオンデポジットが付着しやすい傾向にあります。

ウロコは水道水や雨水に含まれる、炭酸カルシウム・ケイ素・カルキや排気ガスに含まれる成分などが、水分の蒸発にともなって硬く固まったものであり、一旦付着するとなかなか除去ないため厄介です。

程度が軽く付着からあまり時間が経過していない場合は、市販のケミカルで除去できることもありますが頑固なウロコは専門業者に頼るしかなく、概ね5,000~1万円コストを割けば、ガラス研磨による除去と再付着予防の撥水加工を依頼することが可能です。

しかし、問題は除去できるか否かではなく「なぜが付着したか」であり、屋根付きガレージや保護シートをかぶせて保管したり、雨が止んだ時や洗車後に拭き上げさえしていれば、リアガラスにウロコなんて付着しません。

何度も言いますがR35は高級車なので、リアガラスにウロコがびっしり付着まで放置、もしくはそれを除去せず平気な顔で陳列している、ガサツな車両管理体制の中古車店に、何百万円もの大枚をはたくのはもったいない。

前項で触れたトランクの水たまりと、リアガラスのウロコ付着は「発生していないことを大前提」に、愛車となる初期型R35を探すよう心がけましょう。

板金・塗装歴はセールスマンに「根掘り葉掘り」聞いてOK!

広範囲にわたる板金・塗装はもちろん、細かい傷やヘコミの補修でもプロならすぐに見極められますが素人では難しいですし、言葉で見極め方やコツをお伝えすることも、正直無理です。

そのため板金・塗装歴については、販売店のセールスマンから聞き出すしか手がありませんが、この時威力を発揮するのが前述した「バンパーステイ」のチェックです。

板金・塗装歴を問いただす前にこのひと手間をかけておけば、セールスマンの警戒心が良い意味で高まり、板金・塗装箇所や未修復である細かいキズ・へこみの存在を、包み隠さず教えてくれることもあります。

流れるようなスタイルと、美しいカラーリングはR35の魅力ですので、しつこく聞き込みして全く問題ありませんが、そこは10年近く経過した中古車なので少々のキズには目をつぶり、全体的にキレイと判断できたら他のチェックポイントに移るようにしましょう。

ちなみに、傷やヘコミはどこに入ってしまうかわかりませんが、色あせについてはボディーよりリアウィングで発生することが多いため、遠くから眺めてムラがないかだけは、念のためチェックしておいてください。

内装のチェックポイント

つぎに、やたらと不具合報告が多いR35の内装インテリアに関して、チェックすべきポイントを見ていきましょう。

メーターパネルのLED切れ


出典:みんから

当記事を読んで頂いている方は、基本的に初期型R35が欲しい・買いたいと考えているはずなのでご存知かもしれませんが、中古車情報サイトを見ると走行距離のところに、「メーター交換」と記載されているR35が多く存在します。

これは何も、盗難やメーター改ざんなどといった犯罪行為がなされたわけではなく、初期型R35はメーターのLEDすぐに切れる弱点があり、新車登録から7年間はメーカーにより無償補償されていたため、不具合発生車両はほぼ交換済なのです。

症状は、まず夜間LEDの一部が暗くなりはじめ、最終的にメーターのデジタル表記が全く映らなくなるのですが、10年経過しても症状が出ていない車体も存在します。

いつメーターが映らなくなるかなんて、素人はもちろんプロでも判断できない上、LEDの打ち替えのみで5~8万円、日産に持ち込んで純正メーターに交換する場合は、工賃込みで20万円近く必要になります。

ですから、メーターパネルについては交換済の車体をチョイスすべきで、情報サイトで表記していなくとも、青色LEDに統一された対応済メーターが付いている場合は、購入後すぐに切れてしまう心配が少ないため「おすすめ」です。

ただし、メーターは交換された時点で走行距離がゼロになるため、購入する際に真の走行距離が何kmなのか、セールスマンに確認することを忘れてはいけません。

メーカー保証で正規品と交換している場合は、「NHPC」に交換時点の走行距離が記録されているため、優秀な販売店はそれを確認し情報サイトやプライスボードで、実走行距離を明記しています。

しかし、実走行距離を聞いてもなかなか答えてくれない場合は、流通過程のどこかメーター交換されたことにより、資産価値が大きく下がってしまう「走行距離不明」扱いになるケースがあるため、手を出さないほうがいいでしょう。

ナビモニターの状態


出典:有限会社エンドレス ENDLESS

起動とともに、GT-Rのロゴが大きく映し出されるナビモニターのカッコよさに惚れ、購入を決めるオーナーも多いのですが、残念ながら非常に不具合が起きやすく、メーターとともにこちらもリコール対象だったので、多くの車体がすでに無償交換済です。

表示色が変だったり画面に線が入っている状態ならわかりやすいですが、症状が出ていない場合は交換されているか、プロでも判断しにくいため運の要素も絡みます。

また、ナビ本体の故障ではないうえ、先代R34のナビモニターのように、表示がハチャメチャで確認できないほど悪化することは少ないため、画面が確認できるうちは我慢して乗るのも手です。

ちなみに、ナビモニターはリーズナブルな互換品を通販で購入、持ち込み交換対応のショップに依頼すれば、1,5万円程で純正モニター同様の使用感を得られるため、それほど大きなマイナスポイントとは言えないでしょう。

ダッシュボードのベタつき度合い


出典:youtube

ダッシュボードのベタつきに関しては、直接触らなくても一見するだけで「ネチャッ」と質感がわかるほど酷いこともある、歴代GT-Rに共通して発生する不具合で、症状が進むとダッシュボードに亀裂が入ったり、完全に割れて剥がれ落ちたりします。

通常10年程度経過しても、それほどダッシュボードが痛むことはないのですが、VR38DETTエンジンが発する大量の熱が影響し、ボンネットに近い場所から徐々にベタつき始めるのです。

改善方法は大きく2つ、一旦塗装を剥いだ上で再塗装しベタつきを抑えるか、亀裂や剥離が進行している場合は丸ごと新品に取り換える方法があり、全車は業者によってまちまちですが、概ね4~5万円の費用が掛かります。

ホームセンターなどで剥離剤や塗料、道具などを揃えてDIYにチャレンジする猛者もいますが、R32やR33と比較してR35は取り付けが強固なため、慣れない素人が脱着作業をすると割ってしまう可能性が高く、仕上がりの差もありますからプロに任せた方が無難です。

一方、後者の場合は部品代が仕入れ値で約15万円かかり、業者の利益・工賃を含めると軽く25万円近く飛んでいきますが、運転席に座ったとき感じる清潔感と快適さは、コスト以上にアップします。

もちろん、歴代のオーナーがベタつきに我慢できなかったり、これでは売れないと判断した中古車店が仕入れ後再塗装、もしくは新品へ交換しているケースもあるので、少々値が張ってもダッシュボードの状態が良い方をチョイスしたほうが、将来的にお得です。

また、ダッシュボードを紫外線から保護するUV吸収材配合のケミカル商品が、カー用品店やホームセンターで数百円から市販されているので、購入し利用すれば幾分ベタつき発生を、遅らせることができます。

スイッチ周り・シフトノブの塗装剝げ


出典:R35GT-R blog

R35のインテリアには、他車種より断然多くのスイッチが付いていますがその周り、特に使用回数の多い運転席側パワーウィンド・スイッチ周辺の塗装が、剥げていることがあります。

新品に交換してもいいですが、誰でも簡単に張れるカーボン製のシートが、安価で販売されているので、動作に支障がないならそれを加工して使えば、かえってカッコいい仕上がりになります。

また、アクティブな走行が魅力の車だけに、ステアリングに使用感があったり、シフトノブに塗装剥げがあったりしますが、この辺は初期型R35に限らず10年以上経過したスポーツカーなら、少なからず発生しているのでカバーでも装着して我慢しましょう。

レザーシートの傷み・破損


出典:カーメイクアートプロのブログ

初期型とはいえ、R35のシートは材質・縫合技術共に超が付くほど高品質なので、多少の使用感や痛みはあっても、普通に乗っている状態でビリビリに破れるようなことはありません。

注意したいのは、何かしら鋭利なモノで付いたキズやたばこによる焼け跡の存在で、張り替える場合は最低でも10万円程必要なため、我慢して乗るか張り替えるのか、はたまた購入を断念するか、予算に応じてを決める必要があります。

また、GT-Rはファミリー向けではなく、一人乗りされるケースが多い車種の代表格であるため、助手席及び後部シートは全く傷んでいないことが多い。

しかし、使い方はオーナーの自由なので、極端に安いで販売されている車体の中には、助手席や後部シートの傷みがひどい時があるため、チェックだけは怠らないようにしましょう。

内装は修理しなくても走行に支障ないが…

その他、スピーカーの音割れや臭いの付着エアコンの不調など、使用状況と経年によって初期型R35の内装には、さまざまな不具合が発生している可能性はありますが、持ち前の高い走行性能には一切影響しないため、修理せず放置しても特に問題ありません。

ただ、そこは400万円を超える大きな買い物ですから、妥協せず納得いくまでチェックし、よりラグジュアリーで快適なドライブをエンジョイできる、上質なR35をゲットしましょう。

ノーマルパーツへの復旧履歴


出典:Trust

初期型R35の平均販売価格が近年中古市場でこなれてきたのは、新車当時チューニングベースとして購入・フルチューンが施され、サーキットを走行していた車体がお役御免になり、大量に市場へ流出を始めたからです。

一方、街乗り中心のオーナーが所有していた、「どノーマルR35」の価格はいまだ高値のままであり、現時点で400万円台の「適正価格」で買える初期型R35はその中間で、

  • 車高調
  • サスペンション
  • アルミホイール
  • カーボンパーツ
  • エアロパーツ

などエンジンへ手を加えない、「ドレスアップ」に留まる車体を差します。

ボアアップやタービン変更などにより出力アップしたR35は、エンジンやミッションに多大な負荷がかかっているため、後々大きな不具合が発生する可能性が高く、一般ユーザーにはあまりおすすめできません。

エンジンに手が加わっているか一目で判別することは難しいですが、異常にブースト圧が高い(車内ディスプレイで確認可能)場合や、エンジンと各所を連結するホースバンドが不自然に新しい時は、なんらかのヘビーチューンがなされた可能性大です。

また、マフラー・エアクリーナを社外品に交換している車体も多く出回っており、この程度のライトチューンならそれほど支障ありませんが、前述したドレスアップを含めできる限り、純正・ノーマルに復旧されているR35をチョイスべき。

将来的に手放す際あれこれ社外パーツが付いているより、ノーマルパーツで統一されていた方が高く評価される傾向にあるからですが、バッチリ好みに合うパーツが付いていたり、乗り換えるつもりがない場合は、購入を検討して全く問題ありません。

フライホイールハウジングからの異音


出典:有限会社エンドレス ENDLESS

初期型R35にとって「弁慶の泣き所」と言える不具合で、フライホイールのハウジング内にある支持ベアリングが、早い時は3万kmあたりでガタつき始め、高速走行時にコロコロという異音が聞こえるようになります。

症状が進むと、次第にガタガタ音に変化し音量も大きくなっていき、放置するとクランクシャフトやトランスミッションに影響が及ぶため、購入時にガタつきや異音がないかチェックし、発生しているようなら追加費用が掛かっても交換を依頼すべきです。
もちろん、初期型R35は誕生から11年経過しているわけですから、過去に交換されており購入時ガタや異音が出ないケースもありますが、記録簿を確認して交換時期が2015年より前である場合は、近い将来症状が出る可能性大。

2015年以降に出回った対処済ハウジングの値段は約11万円、工賃の相場は7~8万円なのでショートパーツを含めると、20万円近くの出費を覚悟しなくてはいけませんが、購入時であれば工賃を値下げしてくれる可能性があります。

改めて修理を依頼するとパーツ取り寄せや交換など、お金だけでなく時間もかかりますから、症状がなくても前回交換から年数が経過している時は、念のため交換しておいた方が良いでしょう。

ラジエター・オイルクーラーからの液漏れ


出典:みんカラ

初期型R35に限らず、GT-Rは非常に水温が上がりやすい車であるため、ラジエターのアッパータンク及び、リザーブタンクのふた付近にラジエター液が漏れた跡が残っていることがあります。

ラジエター漏れは、高速走行で水温が急上昇した際起こる現象で、夏場高速道路で長時間飛ばしたときなどには水温が100℃を超えてパンク、張れているのにフロントガラスに水滴が「ビシャ!」と付くほど、勢いよく噴き出すこともあります。

こうなるとエンジンオーバーヒートのリスクが高まるため、安全を確認したうえで車を停車し、速やかにJAFもしくは行きつけがあるならカーショップなどに連絡し、対処してもらいましょう。

この不具合は、高馬力エンジンを積むR35の宿命と言えるため、漏れ跡があったからオーバーヒートしたとは限らないものの、見つけたらエンジンをかけすぐ漏れ始めないかや、異音がないかなどはチェックすべきです。

エンジンを一定時間まわし、漏れださない時や違和感がない時は特に対処する必要はなく、定期的にラジエターの液量をチェックし、不足しているようなら補充することを忘れなければOKです。

一方、ラジエターの液漏れほど頻繁には起きませんが、おおむね10万kmを超えたあたりから、オイルクーラーのパイプのカシメ部分に、オイル漏れが発生することがあります。

オイル漏れと言うと初心者は、「まずい!すぐ対処しないと!」と焦るものですが、よほどの破損でもない限りオイルは「にじむ」程度しか漏れないため、オイル交換の定期的な交換をしてさえいれば、特に対処する必要はありません。

ただし、車検を通過しないほどボタボタ漏れている(基準は難しく実は拭き取ってしまえば通るのだが…)場合は、ショップの指示に従って漏れを止めた方が、後の大きなトラブルに繋がりません。

リコール・サービスキャンペーンの実施状況

最後にここまで解説してきた不具合以外で、過去日産が実施したR35に対する無料補償キャンペーン及び、リコールを紹介しておきましょう。

  1. ステアリングロックモーターの異常・・・エンジンをオフした際に掛かるステアリングロックが、エンジン再始動時に解除できない。
  2. オーディオ関連の異常・・・スイッチに触っていないのに音量が上下したり、全く音が鳴らなくなる。
  3. ステアリングコラムのロック機構の不具合・・・ステアリングコラムの調整ノブをロックしても、コラムにガタ付きが出る。
  4. ボンネットフードのポップアップアクチュエーターが不作動・・・衝突時、ボンネットフードの対人保護ポップアップが作動しない。

①と②は何度か相談を受け、「メーカーに行けばタダで直してくれる」とアドバイスした覚えがありますが、③に関しては長い筆者のメカニック生活の中で1度も発生事例を見たことも聞いたこともなく、④は事故をしないと作動するどうかわかりません。

ただ、どれにしても発生すると非常に困るので、中古購入する際は歴代オーナーが上記のキャンペーン・リコールで①~④交換を受けていたかどうか、整備点検記録簿もしくは日産販売店で確認するようにしましょう。

まとめ

今回、初期型R35を中古購入する際の注意点として、起きやすい不具合・トラブルなどを多岐にわたって解説してきましたが、老婆心ながら付け加えておくと、R35は決して「故障しやすい車」という訳ではありません。

確かに、その強大すぎるパワーが「仇」となり多くの弱点は存在するものの、それをカバーして余りあるエンジン・ボディー剛性や完成度の高いミッション、強靭な足回りなどを有しています。

各所オイル管理を始めメンテナンスに手を抜かなければ、R35GT-Rは20~30万kmを超えても、同世代のライバルたちをあらゆる面で凌駕する「真のスーパーカーである」と断言し、この記事を締めくくりたいと思います。