GT-Rの車両保険は入るべき?「保険金を上げる交渉術」と「保険料を安くするコツ」も教えます!

モデルに関わらず、GT-Rを所有し颯爽と走行したときの高揚感は、他車とは比較にならないほど大きなものですが、その分事故・盗難・いたずらなどが心配で仕方ない…、という現オーナーや購入希望者は非常に多いはずです。

結論から言うと、安心して愛車・GT-Rと長くカーライフを楽しみたいなら、任意保険はもちろん付随する車両保険にも「入っておくべき」と考えていますが、条件によっては入りたくても入れない可能性もあります。
そこで今回は、GT-Rにおける車両保険加入条件と、保険会社に加入を断られる代表的な事例を挙げた後、車両保険に入るメリット・デメリットを解説いたします。

また、モデル別の概算保険料相場や、元車業界のプロの筆者だからこそ知りえる補償上限・支払い保険金増額交渉のコツ、さらにおすすめ保険会社の紹介や保険料を安く抑えるコツを漏らさず網羅してお伝えいたします。


※先日アンケートを取らせていただきましたが、殆どの方が車両保険に加入されているようです。

GT-Rってそもそも任意保険の車両保険に入れるの?

世界最高峰の市販スポーツであるGT-Rは、新車・中古車に関わらず同世代の他車種より車体価格が段違いに高額であるため、事故後の修理コストがかさむクルマの筆頭格と言えます。

冒頭で車両保険に入るべきと述べたのはそのためで、モデル問わずGT-Rも当然入れますがハイスペックスポーツであることがネックとなり、条件によっては保険会社から「加入NG」を出されてしまうケースがあります。

車両保険への加入条件は保険会社によって違う

実のところ、車両保険への加入可否を判断する基準・条件は明確に定められておらず、全て損保会社独自の判断にゆだねられています。

加えて、自動車保険において「高級スポーツカー」という分類はなく、GT-RもハイエースもN-BOXもすべて「乗用車」として扱われるため、特殊改造でもしていない限り車両保険への加入条件は「同じ」です。

ただ、GT-Rを始めとするハイパワーかつ高級スポーツカーは、

  • 車両価格が他の車種より高額
  • 盗難やいたずら被害を受けやすい
  • 用途的に事故遭遇率が高い
  • スピードが出るため事故発生時のダメージが大きい

なといった特徴があるため、車両保険の加入を断られてしまうことがあるのです。

それもそのはず、契約後すぐ高額な保険金の支払いが発生しては大赤字!!、筆者から言わせればGT-Rオーナーの方がよっぽど慎重なドライブや、用心深い管理をしていると思うのですが、利益を上げ損失を抑えるのが商売の基本ですから仕方ありません。

とはいえ、前述したとおり車両保険に入れるかどうかは「損保会社の判断次第」なので、粘り強く探せば加入できるところを見つけることも可能ですが、保険料が大幅にUPすることは覚悟すべきです。

なぜなら、保険料の算出には補償内容・等級だけではなく、自動車の型式ごとに事故リスクを区分した「型式別料率クラス」が適用されているからです。

型式別料率クラスは毎年1月更新され、対人賠償・対物賠償・搭乗者保険・車両保険それぞれ1~9までクラス分けされており、数字が大きいほど事故リスクがあると判断され、支払保険料が高くなります。

執筆現在、同じ日産のセレナC25型(2005~2010)の車両保険料率が「3」であるのに対し、GT-Rはそれぞれ

  • R35・・・7
  • R33&R34・・・8
  • R32・・・6

と全くうれしくありませんが、全車種中トップクラスでデータ的にはセレナの倍以上、事故を起こすリスクが高いと評価されています。

そして、一定ランク以上を「門前払い」する損保会社も存在するため、「R32<R35<R33&R34」の順で車両保険に入れないケースが増え、仮に加入できても保険料がバカみたいに高くなるのです。

車両保険に入れないケースとは?入れなかった場合の”意外と知られてない対処法”

損保会社の中には、「記名被保険者の条件」が良ければ車両保険加入にOKを出すところもたくさん存在しますが、反対に条件が悪ければGT-Rに限らず、車両保険に入れない可能性があります。

記名被保険者とは契約車を主に運転する方のことで、例えば21歳でGT-Rを頑張ってゲットし、自分が記名被保険者となって任意保険に加入、念のため車両保険にも入ろうとしたのに断られた時は、運転歴の短さと等級の低さがネックになった可能性大。

また、損保各社はリスク管理を目的に、自動車保険に関わる数年分のデータを把握しているため、過去に何度も車両保険を使っていたり、飲酒運転など重大な違反をしている場合は、ベテランドライバーであっても加入を拒否されることがあります。

GT-Rというだけでハードルが高いのに、記名被保険者の条件が悪ければより一層車両保険に入りにくくなってしまう、ではどうすればいいかと言えば実に簡単で、家族の中で「最も条件が良い人」を記名被保険者に立てればいいのです。

前述した21歳のGT-Rオーナーに再登場いただき解説すると、父親が50歳で無事故無違反かつ等級が高いなら彼を記名被保険者にして、運転者範囲を別居の場合は「限定なし」、同居なら「家族限定」にすることで一気に加入のハードルが下がります。

自動車保険が記名被保険者と車の所有者が違っても、問題なく加入できることを利用した裏技で、同居さえしていれば祖父母でも兄弟でもOKですので、なかなか車両保険に入れない時は、ぜひ試してみてください。

(※実際に大手保険会社でもこのように説明されているので、違法ではありません↓)

Q:契約者、記名被保険者、車両所有者はそれぞれ名義が異なっていても契約できますか?
A:はい、できます。

ただし、契約者、記名被保険者(ご契約の自動車を主に使用する方)、車両所有者(*1)、それぞれが異なる場合は、ご契約手続きのときに申告していただく必要があります。
記名被保険者は、「告知事項」(*2)です。告知事項が事実と異なっている場合は、ご契約が解除されたり、保険金をお支払いできないことがあります。
出典:損保ジャパン日本興亜

GT-Rオーナーが車両保険に入るメリット・デメリット

車両保険に入るメリットは、事故後に発生する車の修理費をカバーできることにつきますが、任意保険で修理費は出るから大丈夫、と勘違いしている方もおられます。

任意保険の「対物補償」は相手側のクルマや、ガードレール・電柱・家屋の壁など、「他人のモノ」に対する損害賠償をカバーする補償であるため、相手がいない自損事故はもちろん、過失が全く無い場合を除き修理費用の自己負担が発生します。

例えば、GT-R所有するAさんが交差点でBさんと衝突物損事故を起こし、キレイにGT-Rを修理する費用が、「200万円」かかるとしましょう。

この時、相手側の方が過失が重く「Aさん2割・Bさん8割」と判断された場合であっても、相手側の任意保険からは8割分の「160万円」しか支払われないため、「40万円」は自腹を切る必要があります。

一方、車両保険に入っていれば自分の保険から不足分である「40万円」が支払われるほか、仮に過失割合が大きいと判断されても、契約時の設定額を上限に保険金が下りるため、キレイになったGT-Rとの楽しいカーライフを、出費なく再スタートできます。

一般的に年式が古く残価値が少ない車両は、加入時設定される保険金額が少ないため、大きな損害が生じたときに修理コストを賄えないケースがあることから、保険料がUPする車両保険のデメリットばかりが目立ってきます。

しかし、GT-Rは世代問わず残価値が大きいため、うまく交渉して設定保険額を確保すれば、ほとんどの場合修理コストをすべてカバーできるため、このデメリットについてはそれほど気にする必要はないと考えています。

また、GT-Rに限ったことではありませんが車両保険を使用すると等級が下がり、同時に事故あり係数が適用されるため、年間保険料がグンと上がってしまうデメリットも発生します。

【車両保険使用時の割引率】

・今年度の等級

・事故あり係数適用期間

・保険料割引率

事故の種類 ・翌年度の等級
・事故あり係数適用期間・割引率
・15等級
・0年(事故なし)
・-51%
3等級ダウン事故(※1) ・12等級
・3年
・-27%
同上 1等級ダウン事故(※2) ・14等級
・1年
・-31%

※1・・・他社との衝突、自損事故、当て逃げなど。
※2・・・いたずら、盗難、飛び石、自然災害など。

仮に年間保険料のベースが「20万円」であった場合、3等級ダウン事故後に車両保険を使用すると、割引後の保険料が98,000円から「146,000円」にアップするうえ、元の15等級かつ事故なし状態に復帰するまで3年間、高い保険料を払い続けることになります。

とはいえ事故やトラブルに遭遇したら、必ず車両保険を使わなければならないわけではなく、小さなスリキズ程度なら使わずに自腹を切ったほうが、車両保険料が高額なGT-Rは特に、トータルでお得であるケースも出てきます。

加えて、車両保険には設定額以下の修理費を補償しない「免責金額」が存在し、事故によって40万円の修理費用が発生し、免責金額が5万円だった場合5万円は自己負担となり、残りの35万円が保険金として支払われます。

損保会社によって設定できる金額は異なりますが、免責金額が高いほど保険料は安くなるため、免責金額を高く設定して保険料を抑え浮いた分を万が一のために貯蓄する方が、使用後の保険料UPを考慮するとベストな選択と言えます。

モデル別車両保険の年間支払額相場

車両保険には「エコノミー型」と「一般型」の2種類があり、前者は他車との接触やいたずら・盗難、飛来・落下物や自然災害などによる損害を補償、後者はそれに加え自損事故や相手不明の当て逃げ、自転車との衝突もカバーしてくれます。

正直、元々保険料が高いGT-Rの場合は差額が非常に大きいため、安全運転に心がけることやドライブレコーダーの搭載など、相手特定に役立つ備えをすることを前提に、エコノミー型をチョイスたほうが良いと筆者は考えています。

そこでここでは、エコノミー型かつ免責金額を15万円に設定したうえで

  • 15等級(記名被保険者)
  • 継続契約
  • 運転者限定なし
  • 年齢制限なし
  • 事故なし
  • レジャー使用
  • 年間走行距離3,000km以下

を条件に、モデル別車両保険の年間支払額相場表を公開しましょう。

モデル(世代) 車両保険なし 車両保険あり 車両保険相場額
R35 7~8万円 26~32万円 約22万円
R34 7,5~9万円 30~37万円 約24万円
R33 11~13万円 35~43万円 約27万円
R32 12~13,5万円 38~44万円 約32万円

現行モデルに近づくほど若干安めになるとはいえ、はっきり言ってGT-Rの車両保険は高い!、前述したセレナCC35型の車両保険料は同条件で10万円弱ですから、5年間所有・車両保険をかけ続けると、50万円以上差が生じます。

ただし、表で示したのはあくまで相場であり、保険料が割高な分損保会社ごとに金額が大きく変化するため、複数社に申し込んで見積もりを取り、提示される保険料をしっかり比較すべきです。

※比較するなら、一社づつ資料や見積もりを取るのは非常に根気のいる作業になるのでネットで一括請求出来るサイトを利用するのがオススメです。

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車両保険金を引き上げたい時の交渉術


出典:GOO

保険料が高くとも、車両保険に加入するメリットが大きいGT-Rですが、正当な保険金が設定されていないと、大きな故障を完璧に修理する費用をカバーできないケースもあります。

新車購入後すぐの契約時が最も高いものの、それでも新車価格より数十万円安く損保会社は上限を提示してきますし、更新の度にすきを見てダウンしてきますが、交渉次第で初回契約時の上限額をUPしたり、保険金の減少を食い止めることも。

まず、新車購入後の加入で車体価格を大きく下回る上限額しか設定されなかった場合、契約書などを保険会社に提示すればUPする可能性があります。

更新時や中古購入時のダウン提示をひっくり返すのは通常難しいですが、GT-Rは中古車市場での値崩れが極端に小さい車種なので、近い条件の中古GT-Rの見積りをできるだけ多く販売店から入手し、損保会社へ保険金の根拠となる「時価相場の証明」として提出。

・中古車情報サイト
・雑誌の広告

などを参照にして証明すると良いでしょう。

この時、「上限額の見直しをしないなら他社を検討する!」と付け加えれば、据え置きは無理でも下落幅を小さくすることが可能で、それでも引き上げない時はとっとと他社に鞍替えしちゃいましょう。

貰い事故などによって価値が下がった時の交渉術

自分に落ち度がない、もらい事故等で等でGT-Rの価値が大幅に下がってしまった場合、売却する際の価格が下がってしまうことがあります。
こういった価値落ちについて、以前はあまり補償が認められていなかったものの、新車登録から3年程度の高級車である場合、一定額ですが価値落ち分の補償を保険会社に命じる判決も出ています。

そして、GT-Rの場合は年式が古くても高級中古車と呼べる域にあり、併せて修復歴による損失額も大きいため、あきらめず補償増額を損保会社に訴えることも大切です。

ただ相手は交渉のプロ、何ら武器もなく勝負を挑んではあっさり返り討ちされるので、自動車査定協会で入手できる「事故減価格証明書」という客観的な第三者団体の書面を加入会社へ提出し、粘り強く交渉に当たりましょう。

保険料を安くするなら通販(ダイレクト)型がおすすめ!


出典:イーデザイン損保

ソニー損保やアクサダイレクトなど、ネットで申し込み可能な通販型の方が、代理店型より手間なくしかもリーズナブルに車両保険へ加入できるため、通常の車種なら断然おすすめです。
※GT-Rの場合は外資系(チューリッヒやアメリカンホームダイレクトなど)を中心に加入出来ない可能性があります。

店舗を無くすことで、保険料を安くしている通販型は薄利多売が鉄則、ハイリスク・ハイリターンであるGT-Rの車両保険加入を嫌う傾向にありますが、記名被保険者の条件が非常に良い場合は、粘り強く探せば加入OKの通販型が見つかる可能性もゼロではありません。

実際にネット上では、通販型で車両保険に加入しているという声も多くみられ、保険料が安いからと言って事故対応が悪かったり、保険金の支払いが滞る心配はありませんから、少しでも安く済ませたい方は通販型へ根こそぎ申し込みをしてみるべきです。

通販型の場合、ネットから見積もりが取ることが出来るので各社の保険料や保証の比較が簡単に出来るメリットがあります。
そのため、複数社の見積もりを無料で一括請求できるサイトがあるので、GT-Rの保険を少しでも安くしたいと考えている方にオススメです。

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ただし、通販型は補償上限額が低い傾向にあるため、保険料が割高でも手厚い補償を望む方には、東京日動海上を始めとする国内4大メガ損保や、中堅どころの代理店型がおすすめとなります。

まとめ

どこに申し込んでも車両保険に入ること出来なかったり、予算的に難しい場合は盗難防止装置を後付けしたり、保管場所の工夫や防犯カメラ・センサーライトの利用など、セキュリティー面を強化する必要があり、カバーをかけるだけでもいたずらの抑止力になります。

何より、車両保険に入れても自分や相手がケガをしては大変ですから、「急」が付く運転をしないなど日頃から安全運転をモットーに、長く愛車・GT-Rの華麗な走りをエンジョイしてください。